姫様の母君であらせられた、色葉姫様は、大層な美姫であると評判で、、関東の大名家で名を知らぬ者は、いなかったといわれていました。それでいて、博学で、詩歌管弦にも優れていたそうです。幼いころより縁談話は次から次へときておりましたが、すべて父であるご隠居様がお断りになっていたそうです。

御隠居さまとは、姫様の実の祖父、現在の養父であられる忠信様のことでございます。

ですが、色葉姫様がまだ幼さの抜けきれない13の年、その当時将軍になったばかりであった徳田家晃様から縁談話が来たそうです。さすがのご隠居様もそれは無下に断ることが出来ず、色葉姫様は側室として、14の年の時大奥入りなされたそうです。