「あともう少しかな?旅籠まで」
照姫が尋ねる。

照姫の黒髪は、昼下がりの海からの反射光を受けて、より艶やかに、照姫のもとよりの美しさを引き立たせていた。

「ええ、もう少しの辛抱ですよ。」
従者の一人である政田磐城が答える。

「姫様、頑張ってくださいね!
もうじきですから。」
そう答えたのは、照姫の乳母である早苗である。