「磐城、私何かしたのかな?至らない嫁だったと思うけど、脱藩するほどだったのかな。」

照姫が城に帰る道中、磐城に尋ねた。

「いえ、姫様は立派に努めらていましたよ。」

「じゃあ、何故なの?」

「それは…」磐城が、口ごもる。

「…ねえ、この道お嫁に行く際も通ったよね。全然違う景色だよ。世界が暗くて、恐い。」

寒々しい北風が大波を引き起こし、暗雲が辺りを覆っていた。