婚礼は、主計の親戚数名と、磐城、早苗だけで恙なく行われた。



・・・その夜・・・

「照姫様、お眠りにならないのですか?もう子の刻ですよ。」主計が声をかける。

照姫は一人縁側に座って星空を眺めていた。

「いえ、少し星を見たかったのです。」

「・・・今夜は星が綺麗ですね。」
主計も照姫の隣りに腰を下ろす。

ちらりと、主計が照姫を見ると涙で頬を濡らしていた。

「どうなされたのです。私が至らず、申し訳ない。泣かせてしまいましたか?」

少しの間静寂が二人を包んだ。


「・・申し訳ありません。わたし、泣いていましたか・・。少し城が恋しかったようです。」
自分に言い聞かせるように言った照姫は無理に笑顔を作った。


「もう大丈夫です。少し肌寒いですし、寝所へ参りましょう。」

そう言って立ち去ろうとしたその時、主計が照姫を引き止め、抱きしめた。