「長旅、ご苦労様でした。私が綿谷主計と申します。
部屋で姫様をお待ちしているべきでしたが、待ちきれずに門でお出迎えしてしまいました。」

そう言って、微笑んだ主計を見て、照姫はこの人に嫁ぐことになって本当に良かったと心の底から思った。

「ありがとうございます。お出迎え嬉しいです。
私は照子です。末永くよろしくお願いします。」

「・・・少し気恥ずかしいですね。こちらこそ至らぬ夫でしょうが、お支え頂けると嬉しいです。」

血色の良い頬をさらに赤らめながらそう言った主計からは、誠実さが窺えた。

「私こそ至らぬ身です。」

「大丈夫です。二人で支え合いながら生活していきましょう。」



その様子を見ていた早苗と磐城はというと・・

「お二人とも、初々しいですねえ。私も綿谷様のようなお人がいたら、今頃は子だくさんの奥様にでもなっていたでしょうに・・・」

「昨日は散々言っていましたよね・・。」

「いいじゃないの。お二人とも幸せになっていくのでしょうね。」

「・・・そうですね。」

「もうあの二人止めたほうがいいかしら・・?あの調子じゃ、式が始まる時刻が日暮れになってしまいそう。」

「ええ、止めてきます。」


そして、磐城が初々しく話す二人を止めに入り、いよいよ式が始まった。