照姫がもう一度叩こうとした早苗を見て制す。

「自分の母上の話を聞いて何が悪いの?私、もう15だし、奥さんになるのだからいいじゃない。それに、城で女中たちが噂話をしているのを少し聞いたことがあったから、大体は予想できてた。だから、磐城は悪くないの。叩かないで。三人の最後の夜なのよ・・。」

照姫の我慢してきた涙が一滴流れ落ちた。

「申し訳ございません。」

妙な暗さが漂う部屋に蝋燭の炎だけが揺れていた。