「いやぁ、大層な男の子でしたよ。母が苦しんでいる、と分かったのでしょうか。陣痛が始まってすぐに生まれてきましたよ。
次に私が取り上げる赤子は姫様の御子ですかねえ。」

清々しい表情で話す早苗。だが突然はっ、とした表情になった。

「それより、姫様。もう子の刻ですよ。明日は早いですし、もう寝てください。
磐城、こんな遅い時間まで姫様と語らってはなりません。」

シュン、として照姫は言った。

「ごめんなさい。実は母上の話を磐城にしてもらっていたの。」

早苗はその言葉を聞いた途端に蒼くなっていった。

「磐城!!その話はしてはならないと何度も言ったでしょ!」

そう言った瞬間に早苗の手は磐城の頬を叩いていた。