「大丈夫ですか・・?やはり、話さないほうが良かったですか?」

照姫の目からは、今にも涙が溢れそうだった。

「いえ、大丈夫です。
・・それより、私の父上、母上は公方様に歯向かってまで愛を貫いたのね!本当はいけないことって、分かってるけどそれほどまでに強い愛の絆には感動したわ。」

無理に笑って、ごまかしているのが余計に哀しみを帯びて見えた。

「・・すみません。明日は、輿入れなのに・・・」

「いいの。磐城が落ち込んでどうするのよ。
あっ、そういえば磐城、私の母上に会ったことあるんでしょ?」

「ありますが。」

「ねえ、どんな人だったの?」

「小さい頃なので、記憶がおぼろげですが優しいお方で私は姉のように慕っていたことを覚えています。」

「へえ、結構親しかったのね。」


そんな話をしている所に早苗が帰ってきた。