「はぁ!?!?何を言っているんですか??」
嘘を言っているのだろう。
「本当ですよ。」
「ああ。」
二人同時に言った。
「確かめてきますか?」
そこまで言われた。本当だったら…
「本当に?」
「はい。」
「疑うんだったら、確かめたら良いじゃん。」
「それは…」
怖い…
「怖いでしょう。」
心の声が聞こえたのか?
「聞こえていますよ。」
「ものすごく聞こえるぞ。」
二人とも聞こえるようだ。
「とにかく、お話は後でするので来てください。」
「断っても、存在が無くなったから居場所なんて無いし。」
「クロウ!それは言い過ぎです。」
「ヘイヘイ。」
「…」
何を言って良いのか分からない。
「クロウのせいで瑞希様がお困りでいらっしゃるではないか!」
「とにかく瑞希は来てくれよ!お願い!!」
「私は…」
行くしかないのだろうか。クロウさん達がお願いしているんだし、
仕方がないか…
「行きます!」
「よし!!」
二人ともハイタッチしている。嬉しそうだ。
「それでは…『西風の巫女』(ミューシャ)の力を解放…出来ませんよね。」
「それってどういうことですか?全く理解できません。」
「とにかく、瑞希は『西風の巫女』の力を持っているんだよ。」
「『西風の巫女』って?」
「えっと…」
クロウさんは分からないようだ。
しかし、シエルさんは
「昔、『西風の巫女』の力を持った人がいたんです。その人の
力を受け継いでいるのです。話せば長くなってしまうので
後でします。」
「はぁ…」
「仕方がないな…なぁシエル…」
クロウさんはシエルさんにこそこそしている。
「…仕方がありませんね。時間もないですし。」
「瑞希。後ろ向いてくれないか?」
言われるまま後ろを向いた。
「肩に力を入れないでくださいね。強制的に解放します。瑞希様に
負担がかかりますがお時間がないので。」
と言って、シエルさんは私の肩に手を置いた。
力がみなぎる感じがした。体の中が熱い。その瞬間
何かが私の中から弾き飛んだ気がした。そして、その勢いで
意識がなくなった。
薄れていく意識のなかで
『日常は呆気ないほど脆く崩れていくんだな。』
と感じた。