低いけど心地よい声で呼ばれ、ぴくっと体が動いた。 本名を教えていないから当たり前なんだけど、源氏名で呼ばれて良かった、と思った。 それが何故だかは自分でも良く分からないけど。 「はい?」 受話器を持ったまま振り返ると篤哉さんはなんだか言いづらそうな視線を投げかけてきた。