授業が終わり、ちょっと騒がしい放課後の廊下。一人の女子生徒を見つめる男女数人が話し合っている。
 
「うわー…、マドンナ可愛いっ」
 
「やばいよね…、彼氏いるのかな?」
 
どうやらこの娘のあだ名は「「マドンナ」」らしい。 
 
さらさらと風になびく茶色の髪、潤った瞳に整った顔立ち。目は二重で大きく肌は白い、足等は細くマドンナと呼ばれるのも納得する可愛さだ。
 
そう、例えるなら…、
「フランスにんぎょう」 
 
「…あっ!珠紀ちゃん」 
マドンナが誰かを見つけた。
ふり返ったのは、黒いショートヘアに金のメッシュがはいった細身の女子生徒。
 
「あ"、珠美っ……。」
 
「どうしたの?今帰り?」
 
「あー…、うん、まぁ」
 
「ふぅ~ん、そっかぁ…」

 
どうやらショートヘアの女子生徒の名前は「「珠紀」」マドンナは「「珠美」」という名前らしい。
 
「あれ…?珠紀ちゃん…。」
 
「んっ?な…にかな?」 
「なんでハートのネックレス着けてるのぉ?」
 
笑顔で言う珠美。
 
「…え?」
 
「前に言ったよね?ハートを着けるのは珠美だよぉ?」
 
「あ…ゴメン…。でも、これは隆から貰った大切な…」
「隆って誰?」
「うん…。2ヶ月ぐらい前から付き合いだしたんだ。教えてなくてゴメン…。」
 
「ふぅーん。そうなんだー。彼氏から貰ったやつだもんね、大切な物だよね…。」
 
「う…うん…。」
 
「ハートのはこれからも着けないでね?ハートは珠美みたいに可愛い子が着けていいやつなんだからね?珠紀ちゃんみたいに、昔からブスな子は着けちゃいけないんだよぅわかった☆?」
 
「…うん…。」
「聞こえないんだけど。」
 
「わかったよ…。」
 
「ならいいのっ!じゃ、気をつけて帰ってねお母さんに遅くなるって言っておいて?」
 
「…わかった。」
 
そう…。私と珠紀は双子なのです。
 
これが私にとっての悪夢の始まり…