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「あの…。その…。」
若松公園に力強く立っている鉄人28号。
その近くにあるベンチに涼子と誠也は腰掛けていた。
辺りはすっかり暗くなり、先程まで涼子1人でいた時より子供達の姿は消え、背広を着たサラリーマンが駅に向かって小走りに鉄人28号の傍を通り過ぎて行く。
「突然メール送ってしまって…、ごめんなさい。」
「嬉しかったよ。」
涼子の顔を覗き込みながら誠也は小さく呟く。
「でもね。」
誠也の指が優しく涼子の頬に触れる。
「鉄人28号の傍にいるならメールに書いて欲しかったな。」
「もしかしてずっと駅で…。」
「新長田駅に居るってしか書いてなかっただろ?」
「嘘…。」
思わず涙が溢れ出し、口元を右手で覆う。
「夏期講習。ずっと休んでたね。心配したよ。」
「どうして…。」
「ん?」
「どうして、花隈君は私なんかの事、心配して…、えっ?」

