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それから夏休みの間、さくらは勝利と全く会えなかった。
さりげなく夜になると、素振りをしている公園に様子を見に何度か行ったが、やはり勝利の姿はなかった。
毎晩、勝利の部屋の電気は点いたまま。
勝利の家の前まで行き、インターフォンを押して呼び出そうとも思ったが、もしかして、なんともなかったのではないかと良い方向に思うようにしていた為、わざわざ呼び出す事をためらっていた。
そして、9月に入り2学期が始まった。
さくらは、始業式の日、自分を誤魔化しながらもついに我慢出来なくなり、登校前に勝利の家のインターフォンを鳴らした。
扉が開き、勝利の母親が顔を出した。
「おばさん、こんにちは。」
「さくらちゃん、何だか会うの久し振りね。」
「そうですね。」
にこやかに挨拶を済ませると、そのまま勝利がいるか尋ねた。

