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若松公園に隣接して建っている東急プラザ。
百貨店やテナントが多数入っているショッピングモールの1階のカフェで、誠也と涼子は向かい合って座った。
「今日は…、ライブの練習はないの?」
「ああ。今日はない。」
アイスコーヒーをストローで吸い上げながら、誠也が答える。
「…。」
涼子は頼んだジュースに手を付けず、俯いたままその先を話そうとしない。
(どうやって聞けばいいのだろう。)
彼氏がいた事もない涼子にとって、このような場面は当然初めてだ。
チラリと顔を上げて誠也を見つめる。
(いつ見ても、カッコいい。)
目が合うと瞬時にまた俯く。
「どうしたんだい?」
「う、うん…。」
改めて、自分に彼氏がいて、その彼氏が学年一のイケメンと言う事が信じられない。
(もう…、いいけどな。)
心の中で何かが逃げて行く。

