「私…、実はお父様が会社の社長でね。自分で言うのもおかしいけど、家がお金持ちなんだ。」



「何となくそのような気はしていました。」



「彼氏がいてね…、七海君って言うんだけど、同じバイト先で知り合ってとっても優しくて、大好きなんだ。」



「素敵ですね。」



「でも…、お父様が相応しくないって、交際を反対されててね…。」



「…。」



「私は、お金持ちなんかじゃなくてもいいの。ただ七海君の隣に居たいだけなの。でも私には許嫁がいて、お父様は私が大学卒業したら結婚させようとしている。好きでもない男性と結婚なんてしたくない。でも、私は1人娘だから…。今日もお父様言われて、今その許嫁と会ってる最中で…。」



「そうなんですか…。」



「私は七海君が好き。大好きなの。どうしてお父様は分かってくれないのか、それが辛くて…。」



必死に訴える麻里奈だったが、涼子の反応は期待とは違うものだった。



「…良いですね、麻里奈さんは。」



「えっ?」



「素敵なお父さんがいてくれて…。」



「お父様が素敵…、何で?」



涼子の言いたい事が分からない。