◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「涼子ちゃんって家、この辺りだったっけ?」
「いえ…、家は須磨区の名谷なんですが、今日はお彼岸が近いので、この近くにあるお婆ちゃんのお墓参りに来ていたんです…。」
「1人で?」
「ええ。」
「もしかして…。」
「大丈夫ですよ、ちゃんと電車とバスで来ましたから。先日のように歩いて来てないですから…。」
「そうだね。だからバスが来るの待っているんだもんね。」
顔を合わせて笑い合う。
「麻里奈さんは、どうしてワイン城に来ているのですか?」
涼子からの質問に少し顔を曇らせた。
「…聞いちゃいけなかったですかね?」
「ううん。」
申し訳なさそうな顔をする涼子に気を使ってすぐに否定する。
「実はね…。」
大人しい涼子になら何だか話が出来る気がした。

