「涼子さん!」



声を掛けられてもう一度頭を下げる。



「こんな所で会うなんて。」



「湊川神社では、ありがとうございました。」



「いえいえ、何言ってるのですか。私、涼子さんが元気になって嬉しかったです!」



どこまでも明るく、元気に答えてくれる。



「涼子さん、確か須磨区でしたよね?どうして六甲山牧場に?」



「私、小さい頃からこの牧場が好きで、今でも1人で来てて…。」



「そうだったんですか。私、六甲山の裏側に住んでいるので、よく家族で遊びに来るんです。」



(家族、か…。)



その言葉に反応して少し暗い表情を見せた涼子だったが、折角再会出来たのでアイスクリームでも食べましょうと、半ば強引に引っ張るさくらに圧倒されてしまった。