しばらくして大きな家へと着いた。

二人が口を開けていると男性は
「どうぞ。」と家のドアを開けた。

中へ入るとそこには
若い少年が出迎えに来ていた。

少年は二人を見ると目を見開いて
「お父様?この方たちはどなたです?」
と男性に向かって問いただした。

どうやら、この男性の息子のようだ。

キリッとした眉に彫りの深い顔立ち。
二人は好青年とはこのことなんだろうと
顔を見合わせて微笑み合った。

「この方たちはお客様です。
客間へとお通しさしあげてください」
と男性は少年へと言うと、二人の方を向き
「この子は息子の【コゼット】と言います。
まだ17歳と青二才ですがよろしく頼みます。」
と言い家の奥へと消えていった。

コゼットに案内されて長い廊下を歩き
着いた部屋には本棚にズラリと並ぶ本たち。
二人は口と目をアングリと開いた。

「私の父はかの有名な考古学者。
【リチャード・コンフェランス】といいます」

二人は頭にピンときた。
リチャード・コンフェランスといえば
あの小さな村でも名前を聞くほどの有名人。
この国、いや世界一といってもいいほどの
物知りとして知られている。



しばらくしてリチャードが部屋へとやって来て
紅茶とお菓子を二人へ出してくれた。

セリナは初めて見るお菓子に目を輝かせ
「食べてもいいんですか?」と尋ねた。

リチャードはニコリと微笑み
「どうぞお食べくださいませ。」と言った。

アスカはリチャードへと疑問をぶつけた。
「どうして私たちに良くしてくださるの?
何かあるのなら話してください!」

リチャードは少し考えて言った。
「これは私の思い込みなのですが…
あなたたちは似ているのです。」

二人は何がどういうことかと聞き返した。

「実はですね…太古の昔、
飛行島と呼ばれる空に浮かぶ島がありました。
そして人々には翼が生えていて
みんな平和に暮らしていたのです。
しかしある事件をキッカケにその島は…
大地へと落ちてしまったのです。
そして人間たちはその島の秘密を知り
空を飛ぶ技術を身につけようと
飛行島の民や町を次々に襲っていった。
だが飛行島には王と呼ばれた神がいた。
その神は飛行島を守るため自らを犠牲にして
飛行島をこの世界のどこかへ隠した。」

長々しい話に聞き飽きたセリナは
それがどうしたのかと尋ねた。

するとリチャードは更に顔をしかめて語る。
「その神には一人息子がいたのです。
しかしどこにいたのか行方は分かりません。
そして…」
と、リチャードは一冊の本を出して
二人の前へと出した。

そこには二枚の写真が貼ってあった。

「この写真に写っている女性こそが
王と呼ばれた神なのですよ。
そしてもう一枚の写真なのですが
これはまだ解読されていない古代文字…」

と、いきなりセリナはジッと
その写真を見つめて呟いた。
「この石板はどこの遺跡のものですか?」

リチャードは首をかしげながら言った。
「これはこの町のエルトシア城のものです。
それが…どうかしましたか?」

「私…この文字読める気がします。
ただこの写真は途切れているので
文を把握できることはできないのですが」

リチャードは目を見開いた。