食べ終えるとアスカはセリナに尋ねた。
「セリナ、今日は町へ出るわよ?
パンを切らしちゃったの。いいわね?」

セリナは目を見開いて
「今日は小鳥たちとお話しするのにぃ。」
と残念そうに言った。

「それに町は嫌いよ。
確かに町には新しい発見がたくさんあって
すごく面白いところだけれど…」
とセリナが言うと、アスカは続けて
「そうね。最近は馬車やドレスみたいな
便利でお洒落なものが発明されてきた。
みんな豊かな生活をしているわ。
でもみんな自然に感謝することを忘れてるわ」

そして二人は身支度を終えて家を出た。



20分程歩いてようやく町に着いた。
そこには二人にはまるで似合わないような
賑やかすぎる町とドレスを身にまとう女性や
たいそうな髭を生やした男性がいる。
さらに町の真ん中には古風なたたずまいの
大きなお城【エルトシア城】がそびえる。

二人はそんな町をしばらく歩いて
目的地のパン屋へと入っていった。
いつものパンを二週間分程買い店を出た。

すると二人のところへと歩み寄ってきた
40代程の男性が二人を見て口を開いた。
「これはこれは…この町にもまだ
こんな古風な服を着ている方がおられるとは」

アスカは少し眉間にシワを寄せて
「買い物へ出てきただけですので。」
と言い放ちその場を去ろうとした。

すると男性は二人を停止させて
「いやいや失礼いたしました。
気に障ったのなら謝りましょう。
あなたたちに興味が湧いてまいりました。
どうです。ウチに来ませんか?」
とニコリと微笑み聞いてきた。

二人は顔を見合わせて考えた。
どうせ今から歩いて帰るだけだからと
この男性に着いて行くことにした。