「みりあー!」

誰かに呼ばれて、声がした方を見ると後ろのドアに、去年同じクラスで今でも仲が良い、宮西美由(みやにし みう)がいた。

みうのところに向かうと


「みりあ!お願い!数学の教科書貸てー!」

なんだ。数学忘れたんだ。みうらしいなぁ。笑

「いいよー!ちょっと待ってね。」

教科書を取りに席に戻ると、私の席に学校で一番モテている、藤翔音(ふじ しおん)くんがいた。

うわぁ、どうしよ。やだなぁ。

でも、みうに教科書貸さないといけないし。よしっ!

私の席まで行き、藤くんに声を掛けようとした時

「あっ。邪魔だった?ごめん。」

藤くんは、そう言ってどいてくれた。

藤くん、意外に優しい。

「ううん。ありがとう。」

「おう!」

そして、私は机の中から数学の教科書を取って後ろのドアに向かった。


「はい。どーぞ!」
そう言って、数学の教科書をみうに渡した。

「ありがとー。みりあ!」

「うん!」

キーンコーンカーンコーン。

あっ。やばい。予鈴だ。

私はすぐに席についた。