けれど――――― 「........駿河くん!」 ――――呼ばれたら、無視なんてできない 立ち止まって、振り向く。 振り向いた瞬間に目に映った彼女の瞳は、赤くなって、まだ潤んだままだった。 「なに」 何もなかったように。 無愛想に、いつも通りに。 「お、おはよ.....」 俺の様子を伺うように言った彼女。 きっと、泣いてたところを見られたんじゃないかって心配なんだろうな。 そんなことを考えながら挨拶を返す。 「おはよ」 まあ、見たけど。 お前の泣いてるとこ、見たよ俺。