パッと顔を上げて彼を見たとき、目に入ったのは耳まで真っ赤に染めた彼の顔。
そんな自分の顔を隠すように彼は私との距離を縮めて。
目の前に見えたのは彼の黒いネックウォーマーで、片岡に抱きしめられていると気づいたのは彼の声が耳元で聞こえた時だった。
「バカ、なんで気づかねーわけ」
ドクンと飛び跳ねた心臓、感じたことのない脈の速さ。
この感じをなんて呼ぶのかは分かんないけれど、体中がジンジンする。
なに、これっ……。
「好きなんだよ」
聞こえた言葉に、目を見開く。
片岡が.....私のことを、好き?
好き......。
あぁ、そっか。
だから今日すごく、片岡変だったんだ。

