なんだよ、さっきまでデーレデレしてたキモ男のくせに。
てかこうやって話してる間にも腕が痛くて堪らないんだけど!!
そう思ってると急に目の前のノートの量が減って、あっと言う間に隣の彼の腕の中に抱えられた。
「す、るが……くん……」
ぽけーっとしながらも彼の名前だけを呼んでみるけれど、彼は足を止める様子もなくそのまま職員室へと歩いていく。
「誰、アイツ」
「優男だよ。や・さ・お。お前みたいなクズとは違って今世紀最大にして最高の乙女ゴコロの分かる優男だよ!」
「は?マジうざい。……って、あぁ、そう言えばさ…」
「ちょっと待ってよ駿河くん!」
「おい、話聞けよ!」
黙れ、タラシ野郎が。
可愛い女の子と話しただけで鼻の下伸びてるお前とは違って、さり気なくノートをかっぱらってく彼の気遣いを見たか!!
心の中に残ったままのさっきの光景にムカムカしている自分が可笑しくて……..意味もなく笑えてくる。
そして意味もなく……..泣きそうになってる……。

