「リセ!朝だから!他の子はもう起きてるんだからね!」

「んんっ…なんだよ…妃奈かー…いいだろ、まだ寝てもー…」

「梨桜達ですら起きてる!後寝てるのは蓮と珠洲だけとリセのみ!」

ついに観念したのかリセはもぞりとベッドから這いずり出て、支度をし始めた。バイト代で最近買ったという冷蔵庫の中に入れてある、ミネラルウォーターを一口飲む姿は、まるでモデルのようだ。

「そう言えば妃奈、知ってると思うけどお前今日、職員さんから呼ばれてる。」

「は、はぁ!?待って、初耳なんだけど。それ何時に?」

「あぁ、確か8時半。」

「あと一時間しかないじゃない!」

そう、現在時刻は7時半。
朝ごはんの準備やらでいつの間にか時間は経っていた。
急がなきゃ!そう思い私はリセの腕を引っ張り、下の階に降りる。

「おはようリセ姉。それと…どうしたの妃奈姉、急いじゃって。」

紅音ちゃんがフライパンを扱いながら私に聞いた。

「8時半に職員さんに呼ばれてるの!」

「それって一時間後じゃん!本館の方でしょ?」

うん、と私は紅音ちゃんに頷く。
私達の住む天星園は本館と別館A、別館B、別館Cに分かれている。
私が住んでいるのは別館Bだ。
基本的に館ごとの規律は年長者によって守られている。ちなみに別館Bのリーダーは私だったりする。