「…紅音ちゃん?起きてる?」
控えめにノックをすると中からはどうぞ、と声が返ってきた。
胡桃ちゃんと頷きあうと、私はドアを開けた。眼鏡をかけた紅音ちゃんは勉強をしていたようで、机の上には教科書が並んでいる。
「どうしたの?妃奈姉。それに胡桃も…何かあった?」
紅音ちゃんは手早くお茶を私と胡桃に出すと、お気に入りのクッションを抱えて、そう問うた。
「明後日の、ことなんだけど…。」
「っ、」
紅音ちゃんが、息を吸う音が聞こえた。ぎゅ、と私の手を胡桃が握る。
「…分かってる、分かってるよ妃奈姉。妃奈姉には、新しい家族ができるってこと。」
「…そっか。あのね、私の後のリーダー、リセなの。」
「リセ姉が?」
胡桃が驚きながら言った。
リセの普段の姿を見ていれば、驚くのも無理はない。
私だってそう思ったもの。
「…リセね、自分から言ったらしいの。でもね、リセ一人じゃ全部抱えきれない。
だから、お願い。私がいなくなった後、リセを助けてあげて。支えてあげて…。」
震えるような声で私は言った。
それが、いなくなる私があの子に出来る、数少ないこと。

