ケータイの画面が10時40分を指す。 実際そこまで時間は過ぎていないのだが、やはり夏樹にとっては『あの事故』があってから周りの人よりも、そういったことを強く心配するようにになっていた。 ふと、ちょうど夏希の目の前が人影で暗くなった。 「ごめんね夏樹くん!!ちょっと遅くなっちゃった」 ふわっと甘い香りが花を霞める。 キューティクルを保った髪がさらりと揺れた。 「全然大丈夫!…おはよう」