音君(オトキミ)



エレベーターに乗って、沈黙となった。

男の子は何事もないように静かで何を考えているんだろうか、と私が考えるくらいだった。


「あの~名前は…」

「あ、ほら。ついたよ。」

「あ、はい…」


せめて名前だけでも、って思ったけどすぐにその階についてしまった。

タイミング悪かったなぁ。



「あの角曲がって赤い扉のとこが坂口先生の授業があるとこ。じゃあ。」

「あ!ありがとう!」

私の方を少しも振り向こうとせずに、スタスタと男の子は歩いていった。


時計を見てみると、あと15分で始まる頃になっていた。

あの男の子のおかげで助かったなぁ。


そう思いながら、坂口先生の授業がある部屋に入った。



部屋の中には、15、6人の男の子女の子がいた。
その前に坂口先生もいた。

坂口先生は私を見ると、にこって笑ってくれた。


少し安心した私は空いてる席を探して、となりになるであろう女の子に挨拶して座った。