音君(オトキミ)



坂口先生の授業を受けに行く途中、あまりの広さに迷ってしまった。

授業まであと20分。
まだ時間はあるといえばあるけど、急がなければ!


でもここがどこなのか分からない。

うーん、困ったな…。



すると、ギターを持った男の子が私の前を通ろうとしていた。

あ!この人に聞いてみよう!!


「あの~。」

声をかけると、静かに振り返った男の子。
前髪が長くて表情が読み取れない。
ちょ、ちょっとこわいけどきいてみなければ、まにあわない!


「坂口先生の授業がある部屋ってどこですか?」

「…坂口先生?ヴォーカル?」

「あ、はい。」

「…それなら、俺が行く階と同じだからついて来て。」

「え、あ、はい。あ!ちょっとまって!」

ついて来て。の一言をいうとスタスタとエレベーターへと歩いていく男の子。


歩くの早いな…