「こんにちは。もしかしてふたりは初めてかな?」
「いいえ。僕は結構来てて、こっちが初めてです。」
と言いながら私の方に手を向けてくるから、その先生が私を見てきた。
「そうなんですね。私は坂口亜子と申します。担当はヴォーカルです。あなたは、今日何の授業受けますか??」
「えっと…それがまだ決まっていなくて…。」
「そうですね…。なにか興味があることはないですか?」
「私、将来シンガーソングライターになりたいんです。」
「あら!それじゃあ、私の授業にいらっしゃい!」
「え?坂口先生の授業ですか?」
「そうよ、私の授業。あ!もうこんな時間!ちょっと、授業の準備があるからまたあとでね!」
「あ、はい!」
この先生のことをあとで高橋に聞いてみたら、歌も表現力も何もかもが飛び抜けてすごい先生だ。ということを聞いて、正直驚いてしまった。
