コワレモノ―人類最後の革命―

私はエンターキーを押し、プロジェクターに映像を流した。

一つは、自宅にいる才夏の映像。才夏のパソコンにハッキングして、才夏のパソコンについている内側カメラの映像を映し出している。

もう一つは、この部屋の映像。何台もパソコンが並ぶ中、一つだけ少し違うパソコンが映っている。先生のパソコンだ。外はまだ明るい。午後五時ごろだ。ちなみにこれは、この部屋の防犯カメラの映像。

「何だこれ?」

皆がざわつく。才夏はゆるぎないポーカーフェイスで映像を見つめていた。

「よし、じゃあハッキング開始~っと」

誰に向かって話しているのかは知らないが、才夏はそう言ってキーを叩き始めた。しばらくすると、誰も触っていない先生のパソコンが起動した。

「おいおい…」
「マジかよ?」

ざわつきだす、今のこの部屋。

「テストの問題は…お、あった」

防犯カメラの映像は少し見えづらいのだが、それでも才夏が何か操作するたびに先生のパソコンが動いているのは分かった。

「印刷印刷~」

才夏のキーに呼応して、今度は先生のパソコンの横にある印刷機のライトが点灯した。

「よし、じゃあ行ってきま~す」

ここで、私は防犯カメラの映像を早送りした。三十分後へ。

「皆、ここからよく見てて」

映像の中のこの部屋のドアが開き…才夏が入って来た。