授業が終わり教室に戻ると、もう男子は授業の準備をしていた。

「黒田」

私は、机で本を読んでいる黒田に話しかけた。あの日から、少しずつではあるが黒田は学校に来ている。

「ん?」
「今日、帰ったら裏サイトに来てくれる? 私のスレ」
「おう。じゃあ俺からも頼みごとだけど、俺の今やってる『Burning Abyss』っていうオンラインゲームの攻略法調べてくれるか?」
「うん」

こういう交換条件の意味を理解してくれる黒田なら、私としても頼みごとをしやすい。

家に帰り、私はパソコンを起動させる。そして裏サイトと、「Burning Abyss」で検索した結果のページを同時に開く。

「こんにちは」

裏サイトに書き込みが。黒田だ。

「今回の夢壊しの件なんですけど、桑田迅奈にはどのように夢壊しをすればいいでしょうか? 今までのような方法では、あの体力では簡単にやられてしまいます」
「そうですね…。体力が有り余っているからこそ使える方法が必要そうですね」

体力が有り余っているからこそ使える方法…。そうなると、普通の人には使えない方法か…?

「あ、忘れてた」

慌てて、私は「Burning Abyss」で検索した結果を見る。

「これかな?」

攻略法が書かれているページを見つけ、読んでみる。だが、そこに書かれている言葉は、日本語ではなかった。文字どおりの意味ではない。専門用語が多すぎるのだ。

「うーん…」

メモを取る気にもなれなかった私は、あることをやってみたのだった。