コワレモノ―人類最後の革命―

「…よし」

カフェイン入りのお茶を飲んで、私はパソコンの画面にかじりつく。ここから、長い長い戦いが始まる。

東から順番に、全ての家の表札を見ていく。マンションの場合は、頑張って拡大して、それっぽい字だと思ったらチェックする。それを繰り返す。全ての家の表札を見て回るまで。

翌日。

日曜日なので休みなのだが、私はそれを返上して「黒田」を探していた。もう九割は見終わったのだが、それも徹夜しての話。体力的にも、気力的にもほぼ限界だった。

「この住宅地で最後ね…」

足かせならぬ目かせがついたように重くなった瞼を、筋肉でむりやりこじ開ける。そして指を動かし、表札を見て回る。

「…ふぅ…」

見周りが終わり、ベッドに大の字になる。見つけた「黒田」らしき表札は、全部で三十弱。意外と少ない。

「さて、と…」

ここから、また絞らなければならない。まだ外は明るい。ごちゃごちゃと方法を考えるより、足を使った方が早い。

「行ってきま~す」

返事の返ってこない我が家に向かって、出て行くときのご挨拶。言うつもりはなくても口から出てしまうのが、この言葉の不思議なところだ。

「まずは…ここかな」

家に一番近い黒田家から、順番にインターホンを鳴らして尋ねてみる。

「すいませ~ん」