コワレモノ―人類最後の革命―

「こりゃ、ちょっとやり過ぎたかもな…」

渡辺が遠い目で呟く。

空港内に入ろうとする人達を、警備員が必死に止めている。マスコミ各社もこの様子をリポートしている。アメリカが『あの方』の居場所ということは、もう掴んでいるらしい。

だから…空港から出てきた私達に、カメラやマイクが一斉に集まって来た。

「アメリカの状況を教えて下さい!」
「何か被害に遭ったりはしませんでしたか!?」
「車いすに座っているということは、この件に巻き込まれたということですか!?」

記者達のやかましい質問を、私達は全て無視した。答える必要などない。だってもうすぐ、この世界には革命が起きるのだから。

「尾所、どこから抜け出す?」
「抜け出せるって思ってるの?」
「いや、冗談だ。でも、この人波に巻き込まれないようにはしろよ。いくら丈夫でも、お前のその腕と脚、もぎ取られるぞ」
「そこまでヤワじゃないでしょ、私の腕」

あまりの人口密度に、息が苦しくなってきた。渡辺の言った通り、抜け出す方がいいかもしれない。それに、私達は三人でいないと。一人でも抜けてしまうと、そこから私達が「革命家」であることがばれてしまう危険性がある。

私は、まだかろうじて届く距離にあった渡辺の腕を掴んだ。

「黒田!」

後方に右手をのばす。車いすがある程度のスペースを確保してくれているおかげで、黒田の姿も見ることができた。

「腕、掴んで!」
「おう!」

掌と掌が触れ合った。限界まで引き延ばされた私の腕は、やはり渡辺の言った通りもぎ取られそうになっていた。