遥隆の部屋からは、12年間ずっと空き家になっている『なおちゃん』の家が見えていた。

 卒業式の朝は、いつもと同じ風景が部屋の窓から見えていた。

 けれど、帰って来たら。

 何もかもが、消えてなくなっていたのだ。

 12年の間で大きく育った木も、すっかり錆び付いてしまったブランコも。

 全部。

 真っ平らの更地になっていた。