memoria/primo amore【BL】

 
「そろそろメシの時間だろうな〜って来てみりゃ、イイニオイしてるじゃん。うわっ、豪華な上にお客さんまでいる~。おっ邪魔っしまぁ〜す」

 七生を完全に無視して上がり込んで来る人物──昨日七生の部屋にやって来た金髪の派手な女性──は、遥隆を見るなり人懐こい笑顔で「こんばんは~」と声を掛けて来た。

 ダメージ加工が施されているショートパンツに大きな胸を主張する様なキャミソール。

 やはり水着だと言われれば素直に信じてしまいそうなくらい、とにかく露出が多い。

 目のやり場に困った遥隆は、ぎこちなく視線を逸らして「こんばんは」と小さく返すのが精一杯だった。


「なお〜。あたしにもごはんと味噌汁。飲み物は持参したからいらない」

「おいコラ! ふざけんな! 勝手に座り込んでんじゃねぇよ。今日は来るなって言っただろ!?」

「あれぇ~? そうだったっけぇ~?」


 明らかにわざと言っているのが分かる口調で話す彼女は、手に持っていたコンビニ袋から缶ビールを取り出してテーブルに置く。

 酒という事は、年(^_^;)もんな上なのだろう。

 なおちゃんには年上の彼女が……なんて思ってしまうと、彼女の登場によって下降気味だった気分が更に悪くなって行く。


「……ごめんな、遥隆」


 そんな遥隆の気持ちが無意識のうちに態度に出てしまったのか、七生が酷く落ち込んだ様子で謝ってきた。


「きっ、気にしないで! ほら、食事は大勢の方が楽しいって言うし……」

「俺は、遥隆と2人が良かった」

「……っ!?」

「な〜おっ。早くメシ!」

「煩ぇっ、食わしてやるんだからそれくらい自分でしろ!」


 そう叫びつつも、七生は茶碗としゃもじを手にしていた。

 觀念した、ということなのだろう。

 もう一人分のご飯と味噌汁を用意して、七生はどっかりと腰を下ろした。