キミが教えてくれたこと


「小学校でも中学校でも友達は作らずに孤立してそのまま高校に入学した」


高校卒業と同時に施設は出ないと行けなかったからとにかく勉強だけして安定した仕事につければ何でもいいと思ってた

そして高校2年になった時、林先生が担任になった


「天野!おはよう!」


「…おはようございます」


先生はいつも一人でいる俺を気にかけていたみたいだが、正直放っておいてほしかった

誰とも関わりたくない。

結局みんな自分のことしか考えていないのだから


「天野!ちょっとこっちに来い!」

「………」

「ほらほら!」

「……なんですか」

下校中、中庭を通ると草太に声をかけられ一度は何も言わず立ち去ろうとしたが再び呼ばれてしまったため晴人は心底ダルそうに草太の元に寄る

「そこ!雑草生えてるだろ?それ抜いてくれ!」

「………なんで僕が、」

「天野は帰宅部だろ?ちょっとくらい先生を手伝いなさい」


言い返そうとしたが、相手は担任

自分の内申を操作されてはいけないと思い、力なく座り込み雑草を抜く


「天野は学校楽しいか?」

「…別に」

「何かあるだろー?友達とか勉強とか恋愛とか」

「僕、勉強以外どうでもいいんで」

晴人はある程度雑草を抜くとサッと立ち上がった


「もういいですか?僕、先生が思ってるほど暇じゃないので」


では、とその場を立ち去った


「…んー、かわいくない」


立ち去る晴人の後ろ姿を見ながら目を細めて笑い呟いた

次の日もその次の日も草太は飽きずに晴人に声をかけ続ける

晴人が無反応で帰ろうとすると正門を出るまで声をかけ続けるので、いっそのこと無視をするより数分その場に留まりさっさと帰るのが得策だと晴人は学んだ



「晴人!いいとこに来た!今日は苗を植えるぞ!」


「………」

いつの間にか名前で呼ばれていることに嫌悪感を抱きつつ、今日こそは帰ろうと何も言わず通り過ぎた


「晴人、担任の言うことが聞けないのか?内申に響くぞ?」

「………」

たかだか雑用を放棄したからといってさほど成績には響かないと分かっているが、相手は担任。
また適当に時間を稼いでさっさと帰ってしまおうと、何も言わず草太の元に引き返す


「これはバーベナって言ってな、夏には綺麗に咲くらしいぞ」

「…そうですか」

晴人は興味無さそうに苗を植える


「クラスはどうだ?楽しいか?」

「別に」


晴人は素っ気ない態度で返事をする


「お前なー、"別に"の一言で考えることを放棄するな」


晴人は返事もせず苗を一つ植えた


「…じゃあ、一つ植えたので帰ります」


パンパンと手を払うと地面に置いていた鞄を持ち上げて門に向かう


「お前、この世の中で自分が一番可哀想な奴だって思ってるだろ」

草太の一言に足を止める


「周りの奴は人に頼って甘ったればっかで、たいした苦労もしないで。結局自分のことしかみんな考えてない、この世の中はクズばっかだって」

「………」

「そうやってかっこつけて、自分だけで生きていこうとしてるだろ。言っとくけどな、そうやって被害者ぶってる奴が一番かっこ悪ぃんだよ」

「うるさい!!!」

晴人は草太の言葉に大声を出して振り向いた


「お前に何が分かるんだよ!誰かに捨てられたり、居場所がない奴の気持ちが分かんのか!!頼る奴がいなかったら自分だけ信じていくしかねぇだろうが!!分かったような口聞くんじゃねぇよ!!」


呼吸を整えると自分のやったことにハッと気付き嫌な汗が背中を伝ったのがわかった

感情が湧き出たからと言って相手は教師だと認識し、今までやってきた自分の努力が無駄になるのではないかと焦った