『ありがとうございました!』
翌日の土曜日はランチタイムの時間までgrazieで働いていた
来客のピークが過ぎ、茉莉花は後片付けに追われる
テーブルの上を綺麗にし、椅子を戻しながら今日は天気がいいから仕事終わりに茜の店にパスタを引き取りに行った後少し散歩コースを変えてパスタとの時間を作ろうとウキウキしていた
カランカランと扉の開く音が聞こえ、机を拭く手を止めて振り返った
『いらっしゃい…え?』
「!」
「Hello」
そこには何故か譲二が立っていた
「あらー、また綺麗な男の子ねー…」
「茉莉花ちゃん知り合いかい?もしかして彼氏とか…?」
『ち、違います!クラスメイトです!』
譲二を窓際の席に案内し、注文を受けてカウンターに向かうと店長と奥さんがチラチラと茉莉花達のやりとりを見てそう言った
「私もあと20年若かったら…」
「おいおい、俺を見捨てないでくれよ」
奥さんが右手を頬に当てて悩ましげな顔をしていると、店長さんは珍しく焦っていた
そんな二人を見てクスクス笑いながら注文されたホットコーヒーをカップに注ぎ、トレーに乗せて問題の彼のところへ持って行く
『お待たせ致しました。』
トレーからコーヒーカップを取り彼の目の前に置くと、ありがとう、と笑顔で言われた
『で、何故あなたがここにいるの?』
「クラスの女子が教えてくれたんだ。ここで働いてるって」
きっと彼が誰かに話しかけるなど皆無だとみんな思っているので、話しかけられた女子はとてつもなく歓喜し話したんだろうと予測がついた
『私、もう上がりだからゆっくりしていってね』
営業スマイルを送り、くるりとキッチンに戻ろうとすると二の腕を掴まれた
「じゃあこれからデートしよう!」
『はい?』
「コイツ…また勝手なことをっ…!」
一部始終を見ていたハルトはまたもや怒り心頭している
「あら、やだ、茉莉花ちゃん、後片付けはいいから行って来なさいな!」
『え、ちょ、』
「行って来い行って来い!後のことは気にするな!」
ほらほら!と影で会話を聞いていた店長と奥さんが茉莉花の背中を押し更衣室まで誘導する
店長と奥さんは譲二のことを彼氏だと完全に勘違いしているようだ
茉莉花ちゃんも大人になったんだな、としみじみ思いながら二人は店の片付けをしていた



