お昼休みが終わりに近づく頃、茉莉花とハルトは5限目の移動教室に備えて早めに教室へ向かっていた
ハルトはまだ茉莉花のヤキモチに笑っている
『もー!しつこいなー!違うって言ってるでしょ!』
「はいはい、そうだよなー。茉莉花ちゃんはヤキモチなんて妬かないでちゅよねー」
茉莉花はいつまでも同じ事を言ってくるハルトに嫌気がさし、階段を一気に駆け上がって教室の方へ曲がろうとした時にあっかんべー!とハルトに向かって舌を出した
「!あ、茉莉花!」
『え?きゃあ!』
「きゃっ…!」
ハルトの声と視線の先に目を向けるといきなり目の前が真っ暗になり、誰かとぶつかってしまった
『いたた…ご、ごめんなさい』
打った鼻を抑えて前を見ると、先程話の発端になった川瀬百合がいた
「林さん、大丈夫!?ごめんなさい、私、よそ見してたから…」
『いえ、あたしが前見て無かったので…』
百合は茉莉花の肩に手を置き、抑えている鼻を見る
心配そうな顔をする百合が視界いっぱいに広がる。透き通るような白い肌にパッチリした二重、左目には涙ボクロがあるのを見つけた
綺麗…そんな風に思っていると、ハルトが大丈夫か!?と駆け寄って来た
その声に茉莉花も我に返る
『…あ、ごめんなさい。あたしは大丈夫、川瀬さんは大丈夫だった?』
「私は大丈夫よ、ほら、私巨人だから!」
そう言って何故か自信満々に胸を張る
確かに女子の平均では高いであろう170cm近くある身長のおかげで怪我は無かったみたいだが、自分で自分のことを巨人という言葉のチョイスに彼女のイメージが少し変わった
それを面白おかしく言ってるわけではなく、真剣に言う眼差しがもしかして…天然?と茉莉花達の頭を駆け巡った
「鼻…痛かったらこれで冷やしてね」
優しく、可愛らしい声でそう言うとピンクの花柄をモチーフにしたハンカチを手渡された
茉莉花達は呆気にとられたまま廊下で棒立ち。百合はじゃあ…というと階段を降りていった
『なんか…何ていうか…』
「…不思議ちゃん?」
そうだ、その言葉がしっくりくる
貸してもらったハンカチを見ると、その向こう側の床に何か落ちているのが見えた
拾うと写真サイズの小さなアルバムだった
川瀬さんが落としたものだろうか、と確認の為にごめんなさいと心の中で謝りながら1ページ目を開く
『!?』



