『ちょ、ちょちょちょ、ちょっと!!あ、あなた誰!?てゆうか、なに!?浮いてるんだけど!!!』


少女、茉莉花は目の前の信じがたい光景に目を見開き持っていた掛け布団を抱え込んだ


「いやー、それがさー、俺死んだっぽくって。目が覚めたらここにいたんだよ」


青年はどこかの制服であろう学ランのスラックスと、まだ肌寒い季節には似つかない半袖のカッターシャツを身につけて宙に浮いたり寝転んだりして人間には到底出来ない動きをしている


これは夢だ夢だ…そう眉間に皺を寄せもう一度ベッドに潜り込む茉莉花を見て、青年は近寄り声をかける



「おいおい、俺だって困ってんだよ。とりあえず話そうぜ」


『困ってるなら出てってよ!自由に飛んでいけばいいでしょ!?もうほんと、やだー!私霊感なんて無いのにー!!』


茉莉花はとうとう布団を頭までかぶってしまった




「それがよー、そうしたいんだけど…」

そう言うと窓の前まで静かに進み、出ていこうと体勢を整える



「見てろよ?」


そっと布団から顔を出し、目だけ出し青年を見る



「ぬ…ぬおおおおおおおおおうっ!!!」


『ひゃっっ!?』



窓に手をかけ出て行こうとした瞬間、体に電流の様なものが走り青年は床に項垂れてしまった



『な、なに…今の!』


「…俺にも分かんねぇよ…。とにかくこの部屋から出ようとすると、こんなことになるんだ…」


床にうつ伏せになり顔だけを茉莉花に向けてそう言った