キミが教えてくれたこと



「おーい、朝だぞー」


その声に導かれるように目をあけると目の前にハルトの顔が


『……いやぁあぁあぁあぁぁ!!!』


「おいおい、人を化け物みたいに」


あ、まぁ化け物っちゃ化け物か!と一人納得している青年を見て、茉莉花は昨日から正体不明の幽霊と住んでいることを思い出した


頭を抱えて時計を見るとアラームが鳴る5分前だった


ため息をつき着替えることを伝えると慣れたようにハルトはリビングに向かった


『そうだ…私は昨日から幽霊と住んでるんだった…』


制服に着替え、布団から出てくるパスタを抱きしめてリビングに向かう


部屋ではハルトがテレビテレビ!とテレビをつけてほしいと催促する


茉莉花はテレビをつけてパスタのご飯を準備しながら、ニュース番組を見ているハルトを見た


ーー誰かがいる部屋ってこんなに温かいんだ


ニュース番組の間に流れるジャンケン対決で真剣に戦い、テレビ画面の向こうにいるマスコットキャラに勝利したことを盛大に喜ぶハルトにクスリと笑うとパスタにご飯をあげた




「あれ?今日はパスタも学校か?」

登校する数分前、茉莉花は学校指定の鞄とパスタを抱いて家を出た


『そんなわけないでしょ。私、今日学校終わりにバイトで帰りが遅くなるから、昨日話した両親の友達のトリマーさんに預けるの』

へぇーと相槌を打ちながら茉莉花の後ろをついていく


広い大通りに面したまるでカフェのようなモダン調のお店に入っていく


『茜さん、おはようございます』


カランカランとお店のドアを開けると、お店の奥から白いワイシャツにゆとりのあるストライプのパンツを履いた40代くらいの女性が毛先だけカールした髪を揺らしながら笑顔で茉莉花の元に向かう


「おはよう!今日からまたアルバイトだね、頑張っておいで!」


ハキハキした活気のいい女性で見ていてすごく気持ちがいい


茜さんと呼ばれた女性はパスタを受け取り胸に収めた


『パスタ、また夜にお迎え来るからね』


パスタの頭をひと撫でするとパスタは気持ちよさそうに目を細めた


よろしくお願いします、と一礼をし気をつけてねー!と大きな声で見送る茜に背を向けて学校に向かう