キミが教えてくれたこと



「あぁ、わりぃ。消していいよ」

茉莉花の問いかけにベランダから離れ寝室の天井近くまでふわふわと浮く

開けていたベランダを閉め、鍵をして、カーテンを閉めようとした手を止めた

透明のガラス越しから空を見上げると透き通る空に小さな星たちが輝いていた

茉莉花はカーテンを閉めずにパスタを抱いて布団の中に入った


『眠くないの?』


「んー、みたいだなー」


ハルトは仰向けになり頭の後ろで手を組んでいる


食欲も、睡眠も、当たり前のことが感じられないなんて想像もつかない

『ずっと…このままなのかな?』


茉莉花は目の前に広がる天井を眺めていた


「さーな。もしかしたら生まれ変わりとかがあるかもしれないし、ずっとこのままかもしれない」


『今、どんな気持ち?』


「んー、何でここにいたのか手がかりも何もないし制服着てるってことは学生だったんだろうなってくらいで、思い出せることもないし…。不安?ってゆうよりも疑問だらけ」


一体自分は何者で、どうしてここにいて、こんなことになってしまったのだろうかと心の中で考えてみても答えなんて見出せずハルトはギュッと目を閉じた


彼のご家族は…と自分に重ねてしまって口を開いたが、余計なことだと思い口を噤んだ


きっと彼がいなくなって寂しい思いや辛い思いをしているだろう。何故彼なのか、どうして、と残されたものはその無限ループにはまってしまう

そこにもう存在しないという事実は消せないのに、なぜ、と。


「ま!俺には茉莉花がいるしな!」


急に目の前にハルトが笑顔で現れ見ていた天井が全て覆われてしまった


『きゅ、急に出てこないでよ!』


あまりに近い距離で茉莉花は顔を赤くし、布団を頭までかぶった


はははっと呑気に笑う声が聞こえた後、「おやすみ」とハルトの優しい声がしドキドキした鼓動を抑えてそのままゆっくり目を閉じた


疲れが溜まっていたのか、茉莉花は数十分後寝息を立てていた


ハルトはそれを聞くと、先程茉莉花が開けたままにしておいたカーテンから見えるガラス越しの星たちを眺めていた


そして夜が明けるまでの長い長い時間を一人過ごすのだった