「いってきまーす」 玄関で急いで靴を履く。 こういう時に限って、なかなか履けない。 「永愛、待ってもらってるんだからしっかり謝るのよ?」 それくらい、わかってるって! 本当、いちいちうるさいんだから。 ぶつぶつ文句を言いながら、 待ち合わせ場所まで走る。 「もう。永愛おっそーい!!」 聞こえたのは高いのにしっかりと伝わる元気な声。 肩くらいまでの茶色のかかった髪をさらさ らと揺らして大きく手を振り上げている 花楠だ。