遮光カーテンから僅かに差し込む光に、気だるさを感じる体を起こす。


暖かい布団を手繰り寄せながら、わざとらしく小さく欠伸をして、涙と一緒に手で拭う。


「…先輩」


おはよう、と言いかけて、先輩がいたはずの枕に、そっと手を乗せて口を閉じる。


…ううん、挨拶はまた今度。


きっと、ギリギリまでいてくれたのだろう、あの先輩なら。


まだ感じる暖かさに体を委ねると、頬の下からカサッ…と音を立てて、小さな紙が出てきた。


しばらく、その紙を手にして、差し込む光に透かすように、両手で掲げる。


「水月、先輩」


名前は、確かめるように、はっきりと。


全身から這い上がってくるような感情を、深呼吸一つに収めて、一つ一つ、先輩の字を目で追うと…目を静かに閉じた。















『後悔しないと誓えるのなら、ここにおいで。』