これをなんと呼べばいいのかな


恋だなんて甘ったるいものじゃないと思うの


言葉にするとどんな物でもとても陳腐ね


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雨が降ってる
頬を濡らすものがとても冷たくて
体の熱が急速に奪われてゆく



ーーこのまま死ぬのかな


冷たいコンクリートの壁に凭れる力さえなくなり、
アスファルトに寝転んだ


ーーその方がいいかもしれない


なにも考えたくない
なにも見たくない


ゆっくりと目蓋を閉じて、私は、死を、願った












「おい、こんなとこで寝たら風邪ひくぞ」


朧気な記憶には舌打ちと、そんな暢気な言葉


それと








ーーーあったかい








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あったかいてなんだ

いつの間にか私は何処かの部屋にいて、ふかふかのお布団にくるまれてる

ここ、どこなの…

私は確かにあの時…



「ん…起きたのか…」


もぞもぞと男が欠伸しながら私の腰に手をまわし
「俺まだねみぃし、もちょい寝とけや」
なんて私をお布団へ引きずり込んだ







ちょ




はぁ?!




「まままま、待ちなさいよ!!!ここ何処、て言うかあんた誰?!…いや、てか
なんで裸!?」


そう、この謎の男、何も着てない!!
いや、感触的にパンツは穿いてるかな…じゃなくて!!

私さっきまで死のうかななんて結構なシリアスな感じじゃなかったか?!
わたわたと暴れれば

「あー…うるせぇ…
ここ、俺ん家、俺、椎名、寝るとき服着ない派…」

わぁ、質問全部答えてくれたよ☆

じゃなくて…

んじゃ、おやすみ と言うが早いか、ふすー と寝息が聞こえた

あまりの緩さに力が抜けていく


どうやら考えるだけ無駄な気がしてきた


開き直った私は、その暖かな男の腕に包まれて
再び目を閉じた








「…ごめんね…ごめん……加奈…」


後悔と懺悔混じりに吐き出した贖罪の言葉を、聞かれていたなんて
知りもせずに