少女たち







「ね!覚えてない?俺!」






きらきらした目で私の元に来た彼はすごく笑顔が素敵で優しかった。






「カズ、誰?この子」





妹らしき彼女は滝川さんの腕に自分の腕を絡ませて一緒に来た。





明らかに私を睨んでいる。




「お前のケーキ、この子のバイト先で買ったやつなんだよ。同じ学校だったなんてな!俺、滝川一輝、3年です!」








「えっ、あ、成沢…「ねえ、カズそれより話」






自分も自己紹介しようとした時、妹に遮られた…





タキカワ カズキ……





2個も学年離れてたんだ。





「お前ちょっと黙ってて?」






妹にも優しい口調で声をかけた滝川さんは今度は私の方を向いた。







「名前、教えてくれる?」







「あ、成沢…「もういい!カズのばか!」





さっきから私に自己紹介をさせてくれないかのように被せてくる彼女は怒って行ってしまった。





私のせい………?





「気にしなくていいよ。あーいう奴なんだ」




滝川さんも呆れたように、でも優しい言い方で。


また好きが増す。大好きになる。






「あ…。あ、成沢 稀子です。1年3組です」






「稀子ね!よろしく!」






こうして偶然にも大好きだったあの人が眺めるだけでなく名前を交し合える日が来るとは思いもしなかった。