「実は、前から知ってたんだ稀子のこと」
アップルパイをひとくち食べた時放たれた言葉。
私はフォークを加えたまま、滝川さんを見た。
いつも通り変わらないあのふわっとした笑顔で私を見つめる。
「俺ね、高校入った時からずっとあのコンビニでバイトしてるんだけど毎年迎えにあるケーキ屋でケーキを買いに来る女の子を見てたんだ」
話し出す滝川さんの目が見れなくて私は少し下を向いて話を聞く。
まるでそれは私のことを話すのか、それとも違う誰かのことを話しているのか、まだ状況は掴めなくて。
私は黙って聞くことにした。
「自分の誕生日なのかそこは疑問だったんだけど、毎年お母さんと来るの。でもバースデーケーキじゃなくてアップルパイ買ってくからいつも違うのかと思ってた」
アップルパイの単語が出てきて私は顔を上げた。
「それが2年間続いてね、またあの子だ〜って思って見てた。そしたらさ今年からその女の子に似てる子がそこでバイトはじめて。そしたら毎年来る同じ日にそのお店のアップルパイを持って帰るのが見えたんだ。だから」
私だ。そう思ったになんだか涙が出て、私はすぐに俯いてしまった。
「俺はね、結構前から稀子の事知ってたんだよ」
