「そ、そんな、た、た、大金ありません!どうしたらいいんですか!」

涙目になる可憐に、さらに詰め寄られ、

店員は冷や汗をかく。

「で、でしたら…解約なさらずに…番号変更だけされるとか」

「む、無料ですか!」

「に、二千円程…」

「機種変更もしたいんですけど…」

恐る恐る聞く可憐に、店員は申し訳なさそうに、

「新規でありませんので…安くて、八千円程」

可憐の希望の機種を調べて…店員は、さらに申し訳なさそうに言う。

可憐は崩れ落ち、

「どうしたらいいんだ…」

あまりにショックをうけている可憐を、気の毒に思ったのか…

店員は、母親の携帯番号を調べだした。

パソコンのキーボードに、指を走らせ、

「ポイントがありましたら…割り引きできますし…」

その言葉に、少しの希望を見いだし、顔を上げた可憐。

「すいません…割り引きできるポイントは、ございません…」

がくっと、可憐は崩れ落ちた。


「どう致しましょうか?」

店員は、パソコンの画面の上から、可憐を見た。

可憐は、携帯を手に取った。

傷だらけで、古い携帯。

一昔も二昔も前の機種。