「触るな」

と飛鳥が私を自分の体に引き寄せた。
安心した香りに包まれて私は
そのまま抱きついた。

「ひっ…痛っ!!
すいません!!すいません!!」

タイミングよく駅について
男の人は必死で逃げていった。
手首、骨折ってやりたかった。

「芽衣に触るやつは許さない
それが…誰であろうが…」

「飛鳥??」

よく聞こえなかったけど、
飛鳥がいてくれなきゃ
私、どうなってたんだろうと
想像してゾッとする…
飛鳥がいてくれてよかった


飛鳥は私の手を掴んで電車をおり、
スタスタと歩いていった。
いつもの通学路にはいったところで
手を離してくれた。

「芽衣、大丈夫??
ごめん、すぐに気づかなくて…
あーゆうときは、すぐ言ってね??
いつだってすぐに助けるから」
「うん、ごめんね、ありがと」

怖かった…

「芽衣は悪くないよ
いつでも俺を頼って」

兄は優しく顔で微笑んだ。
その顔で気持ちが落ち着いてくる。
でも少し疑問に思ったことを
問いかけてみた。

「うん、ねぇ、なんで私が
痴漢されてるってわかったの??」

飛鳥はしばらくうーんと考えて

「念力?」

と結構真面目に言った。

「ふはっ(笑)
さすが」

「デショ~」