あれから何度か私たちは剛史君に会いに行った。ジャンルは全然違う2人だけど、私から見てもとてもお似合いの2人。
結菜も様子がおかしくなることはなく、そして私も…あの人を見かけることはなかった。


あの日までは…




2人がなかなか良い感じになっていたある日、いつものように3人で話していると、結菜がいきなり帰ると言ってきた。
「あ!ごめん!私ちょっと用事が…今日はもう帰るね!」
「分かったー!ばいばい」
「またね!結菜ちゃん」
結菜の背中が見えなくなって、私も帰ることにした。
「じゃあ私も帰るね」
「あ!うん。またね」


私は家へ帰ろうと歩き始めた時、いきなり後ろから声をかけられた。

「ねぇねぇ!この前目があったよね?」

驚いて声のする方を向くとそこには


…結菜の様子がおかしくなった日に見たチャラそうな人..
「え…あのー…」
「あ!俺、トコナミ タツヤね。あと…携帯持ってる?」
いきなり声をかけられ、一方的に話しかけられた私は状況が全くつかめず、オドオドしていた。
「携帯!」
ちょっと大きめの声で言われた私はつい条件反射で携帯を取り出してしまった。
私の手からするりと携帯を取ったかと思うと何かをし始めた。
「…よし、これで完了!じゃあまた連絡するねー」
竜弥と名乗るその人はばいばいと手を振りながらどっかに行ってしまった。
「なんだったんだろ…あ!」
私があっけにとられながら携帯を見ると、"床波竜弥"と電話帳に登録されていた。