ふたりぼっちのクリスマス

「……あの時、あなた、私が死んだと勘違いして大泣きした」

「悪かったって……。いや、ほんとにさ」

頬を膨らませ、拗ねたふりをしてみると、直樹はバツが悪そうに後頭部を掻いた。

その弱気な態度がおかしくて、もっとからかいたくなる。

「私は眠っていただけ」

「普通、あんなに熟睡しないよ?思いっきりフラグ立ってたし……」

「死亡フラグ?」

「そう」

「……へぇ。……死亡フラグ…ねぇ……」

「……あっ!……いや、その……なんというか……」

その慌てっぷりを見たら、笑いがこらえきれない。

「わ、笑うなよ!璃子が熟睡するのが悪いんだろ?」

そう。あの日……初めて海に行った日。

猛烈な眠気に負けて、あり得ないくらい熟睡した。

それを死んだと勘違いした直樹はその場で大泣きし、急いで先生と看護師さんを呼んだ。

その後、病室で目を覚ました私に看護師さんが当時の直樹の嘆きっぷりを教えてくれた。

『それはもう、この世の終わりかのように嘆いていましたよ』

このことを聞いた時、おかしくて仕方なかったと同時にそれ程まで私を想ってくれていたことに胸がいっぱいになったのを覚えている。

そして、今日は退院の日。

あの日から、奇跡的に回復に向かい、病状は良くなっていった。

まだ薬は飲まないといけないし、車椅子は手放せない。それに定期的に入院もしなければならない。

だけど、一年の大半をこれからは家で過ごせる。

それだけで十分嬉しい。